コンサート Archive

交響詩「ジャングル大帝」 by 関西フィルハーモニー

ジャングル大帝といえば、私たちの世代には懐かしい、手塚治虫さんの漫画で、1965年には手塚作品としては初のカラーテレビアニメになりました。
その音楽を書いていたのが、冨田勲さんで、同年、コロムビアから、その音楽を発展させた、交響詩「ジャングル大帝」が発売されました。
雄大な自然を感じさせるスケールの大きな冒頭のテーマ、随所に現れるやさしさ溢れる美しい旋律、管楽器のミュートを駆使したユーモラスな動物の表現など、子どもから大人まで、オーケストラ音楽のすばらしさを味わえる、傑作なのですが、現在オリジナルのLPはもちろん、CD化されたアルバムも入手出来ない状態になっています。
また、オーケストラが取り上げようにも、当時の譜面管理のルーズさから、冨田さんが貸し出したオリジナルのスコアやパート譜が、戻ってこず、当然コピーなどもない時代ですから、演奏しようがない状態でした。

その名作が、手塚治虫さん生誕80周年を記念して、現存する音資料をもとに新たに譜面起こししたスコアに、冨田さん自身が全面的に手を入れ、オーケストレーションをより充実させて、交響詩「ジャングル大帝」(2009年改訂版)として甦りました。
既にレコーディングは日本フィルハーモニーですませ、10月にCDと、5.1chサラウンドで聴けるDVDのセットで発売するのですが、公開での世界初演が、先週末、大阪のいずみホールで、録音と同じ藤岡幸夫さんの指揮のもと、藤岡さんの手兵である関西フィルハーモニーによって行われました。

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これは、開演前のいずみホールの様子です。
実は、いずみホールはお恥ずかしながら初めてで、すばらしいとは聴いていましたが、響きが豊かで、舞台との一体感もあり、本当にいいホールですね。

当日は、日本中から冨田ファンが駆けつけて、熱気溢れる素晴らしい演奏会になりました。
今年はこれが唯一の機会ですが、今後オーケストラで取り上げられる機会も出てくると思います。

10月21日に発売される作品の詳細については、また改めてお知らせします。

斎藤ネコカルテットのライブ with 椎名林檎

マンダラ

昨日は、今度矢野沙織の仕事でお世話になる、作編曲家&ヴァイオリニストの斎藤ネコさん率いる斎藤ネコカルテット(通称ネコカル)のライブに行ってきました。
場所は、吉祥寺のMANDALA2。着席だと40名弱で一杯になる、小さなライブハウスです。

斎藤ネコさんと言えば、最近では椎名林檎さんとの共同名義のアルバム「平成風俗」が印象的でしたが、CM音楽から、ポップス、クラシック、ジャズ、ロック、アヴァンギャルドまで、その音楽性は幅広く、そのどれもが高いクオリティを持つ才人です。
と偉そうに説明していますが、実は私も、名前はもちろん存知あげていましたが、その音楽をちゃんと聴いたのは、「平成風俗」が初めてで、ライブを聴くのも、昨日が初めてでした。

ネコさんが「道楽」でやっているというこのカルテットですが、レパートリーはなんと説明していいやら、全くノンジャンルで、でもとにかく曲も演奏もすばらしく、1部は知っている曲が全くありませんでしたが、ゆるーいトークと緊密でありながら懐の深いアンサンブルに、すっかり惹きこまれました。
それだけでも充分満足だったのに、なんと2部のシークレットゲストに椎名林檎さんが出てきたのにはびっくり。
「ポルターガイスト」、「化粧直し」、「罪と罰」というオリジナルに加えて、初めて歌うというスタンダードソングの「アルフィー」と「ミスティー」まで聴かせてくれて、その歌の説得力に圧倒されました。
大体「アルフィー」は当初やるはずではなかったのに、ネコさんが前日まで「アルフィー」を「ミスティー」と間違えて編曲していて、じゃあせっかくだからやろうかということになったそうで、ほとんど初見状態。それでもあの難しい曲を自分のものにして歌えてしまう力量は凄いですね。歌い込んだら、さぞかし素晴らしいでしょう。

私は、彼女の曲や声はとても好きなのですが、初期のサウンドには、CDの音作りも含めてちょっと入り込めない部分があるので、昨日のように弦楽四重奏(それも超一流の)をバックに聴けたりすると、とてもしっくりきました。
今の日本のあらゆるジャンルのヴォーカリストで、もっとも好きな一人かも知れません。

林檎さんは、ステージでもその後の打ち上げでも、歌っているとき以外は、いたって普通の方(いい意味で)で、改めて真の音楽家なんだなと感じました。

そして、ネコさんの目配り、気配り、音楽の包容力! なんとも気持ちの良い、ゆるくて濃厚な時間でした。昨日集まった30数名のお客さんは、幸せ者です。

新イタリア合奏団 with 高嶋ちさ子、高木綾子、曽根麻矢子

新イタリア合奏団

新イタリア合奏団が、3人のソリストとともに日本ツアーを行いました。
DENONレーベルで長いおつきあいのある、イタリアを代表する室内アンサンブルで、高木さんとは、アルバムも一緒に作っています。

今回は、3人がそれぞれソロをとる曲あり、彼らだけの曲ありという構成で、これまでの新イタリア合奏団のファン層とは違うお客様も多く、楽しいコンサートになりました。
特に高嶋さんとのヴィヴァルディの「夏」は、最初にヴィヴァルディの使った音画法(Tone Painting)の手法について実演付きで説明して、とても面白く聴けたと思います。高嶋さんの話と、アンサンブルのメンバーのおどけたジェスチャーが、絶妙のコンビネイションで、さすがイタリア人という感じでした。こんなに彼らの「地」が出たのは初めてではないでしょうか。終演後も、みんな「こういうのもいいだろ」と言って、楽しんでいた様子でした。

彼らの演奏は、遊び心と鋭さを併せ持ち、ヴィヴァルディの2曲(「夏」とフルート協奏曲の「夜」)はどちらも緊張感のあるすばらしい演奏でした。高木さんとの「夜」は、アルバムでも録音した曲ですが、そのときは、会場の外で鳴く虫の声が入ってきて、それがまたいい雰囲気だったのを思い出します。

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